昔のやり方と今のやり方:「根性」の考え方が変わった理由
昔の「根性論」は、なんだか厳しくて、ミスをすると怒られるイメージがありますよね。
- 「とにかく頑張れ!」
- 「休まず、ひたすら練習しろ!」
というやり方です。このやり方は、非効率的で、精神的に疲れてしまうことも多かったです。
今の時代は、もっと効率的で、科学的な練習の仕方が大切だと考えられています。データや論理を使って、最短で目標にたどり着く方法を選ぶのです。
でも、一番効果的な練習方法で、自分の限界に挑戦していると、「それでもやめずに続ける」という、論理だけでは説明できない根性が必要になってくるのはなぜでしょうか?
この記事では、最も効果的な練習を理解するために、なぜ一番「根性」が必要になるのかを、分かりやすく説明します。
失敗は「悪いこと」じゃない!間違いから学ぶ大切さ
昔の教え:「ミスはしてはいけない!」
昔の根性論が批判されるのは、「失敗を許さない」という考え方があったからです。
ミスをすると怒られたり罰を受けたりして、子どもたちは新しいことに挑戦するのを怖がるようになってしまいました。
「練習中に失敗をなくそう」という考え方は、実は昔の古い学習の考え方から来ています。
今の新しい常識:「間違いから一番深く学べる!」
今の科学(認知科学)では、間違い(エラー)こそが、深い学びにつながる大切な要素だと分かっています。
- 失敗は成長のチャンス: 失敗は、あなたの学習を邪魔するどころか、より深く理解するための「情報」になります。
- 間違いを恐れない: 練習中のミスを「悪い癖がつく」と心配する必要はありません。むしろ、ミスをしないように練習していると、大切な学びの機会を失う可能性があります。
ある数学の勉強法の研究では、次のことが分かりました。
| 勉強のやり方 | 特徴 | 結果 |
| 間違いを活用するやり方 | まず自分で問題に挑戦し、たくさん間違え、「なぜ間違えたか」をみんなで話し合う。 | 「なぜその答えが正しいのか」という本質的な理解が深まる。 |
| 間違いを減らすやり方 | 先生が先に正しい解き方を教え、生徒はそれを繰り返す。 | 間違いは少ないが、深い理解にはつながりにくい。 |
昔の根性論は、失敗から目を背けさせたせいで、私たちは効率よく学ぶチャンスを逃していたのです。
とりあえずやってみて、失敗から学びを増やす
スポーツでも仕事でも、まずは上手な人の練習方法を真似してやってみることが大切です。そして、それを「上手になるまで続ける」ことが絶対に必要です。
- できないこと=伸びしろ: 今できないことは、あなたがこれから成長できる場所(伸びしろ)だからです。
- 魔法の方法はない: 一日で急に上手になる魔法の練習方法はありません。下手なところを一つ一つ上手にしていくしか方法はありません。
ただやみくもに繰り返すのではなく、失敗(エラー)から「どうすれば良かったか」という学びを得て、次の挑戦のための知識を増やし、少しずつ良い方法に近づいていくのが、最も効率的なやり方です。
「根性」を必要とする理由
私たちが選ぶべき「根性」は、失敗を情報として歓迎し、戦略を直しながら繰り返す、一番効率の良いやり方です。
しかし、この一番効率の良いやり方を突き詰めれば突き詰めるほど、「最後までやり抜く根性」が必要になってきます。
成長は「気持ちの良いこと」ではない
効率の良い練習は、いつも自分の「能力の限界のすぐ外側」で活動することを求めてきます。
この限界での活動は、心や体に「不快さ」や「苦しさ」を伴います。この苦しさは、「練習方法が悪いから」ではなく、「練習が効率的すぎるから」発生する、成長の証なのです。
失敗を乗り越えるのは、とても疲れる
特に、失敗から学ぶプロセス(なぜ失敗したかを分析し、戦略を直すこと)は、頭をすごく使う(認知負荷が高い)ため、とても疲れます。
- 自分の間違いを認めること: 自分が最初に考えた方法が間違っていたことを認め、論理的に分析しなければなりません。
- 考え方を組み立て直すこと: 間違いを深く理解し、新しい正しい考え方(ロジック)を作り直す作業は、ただ先生の言うことを聞く勉強とは比べものにならないほど、心のエネルギーを消耗します。
人は本能的に、失敗を避けたい(「自分はダメだ」と思いたくない)と感じるものです。この不快な「頭をフル回転させる状態」から逃げ出さずに、長く受け入れ続けることこそが、今の時代の「根性」の本当の姿です。
最も効果的なやり方を続けるために必要な「今の時代の根性」は、次の通りです。
| 努力のステップ | 科学的な行動(効率的なやり方) | 必要な「根性」(やり抜く根性) |
| 挑戦と試し | 一番良い方法を予測し、意味のある練習を行う。 | 失敗を恐れずに挑戦し、今いる場所から一歩踏み出す勇気。 |
| 結果を観察 | 結果を客観的に記録し、予期せぬ間違い(失敗)を歓迎する。 | 間違いを「自分自身がダメだ」と思わず、情報として受け入れる冷静さと我慢。 |
| 分析と学び | なぜ失敗したか(情報が足りない、やり方が間違っていたなど)を深く理解する。 | ストレスを乗り越えて真実を直視し、考え方を組み立て直す粘り強さ。 |
| 改善と再挑戦 | 分析結果をもとに、戦略を修正し、再び試す。 | 繰り返し学習を諦めずに続ける、目標への持続力。 |
科学は道を示すが、歩くのはあなたの「意志」
科学的な方法は、戦略を示し、目標達成までの道を一番短くしてくれます。
しかし、何百回、何千回もの試行錯誤を乗り越え、結果が出るか分からない苦しい状況でも、「それでも続けるべきか」という根本的な問いには、効率の良さだけでは答えられません。
成功が約束されていない状況で、苦しい反復を続けるためには、「成功するまで続ける」という強い意志、すなわち最後までやり抜く根性が絶対に必要です。
これが、効率的な方法(科学的なプロセス)を選んでも、最終的には「根性」(継続する覚悟)が必要になる理由です。科学的な方法を最大限に活かすためには、その方法を最後までやり抜くための、合理性を超えた根性が不可欠となります。
まとめ:最後までやり抜く「根性」を育てよう
結局のところ、昔の「やみくもで非効率な根性論」を拒否しつつ、科学的なプロセスを最後まで支える「最後までやり抜く根性」を育てることが大切です。
「昔の根性」(努力そのものを美化)と「今の根性」(科学を支える持続力)の決定的な違いは、失敗をどう扱うかにあります。
私たちに必要なのは、失敗を「自分の価値」と結びつけるのではなく、「次の挑戦のための、なくてはならない情報」として客観的に切り離す練習です。
- 科学的なプロセスで、努力の効率を一番大きくする。
- その効率的なプロセスを、最後までやり切るための覚悟を持つ。
この二つが揃ったとき、私たちは本当に必要なスキルを身につけることができるのです。
